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従業員こそがパーパス浸透のキーパーソン

ジョン・イッツォ  ジェフ・ヴァンダーウィレン

企業やビジネスリーダーが、時代に求められる「パーパス革命」を成功させるためには、企業文化をどのように変革すれば良いのでしょうかーー。今回は、それを紹介するシリーズの4本目の記事です。(翻訳:梅原 洋陽)

サステナビリティを企業理念の根幹に取り入れる企業「サステナブル・ブランド」にとって幸運なことは、消費者が好感を持てる企業から商品を購入したいと考える傾向にあることです。世界的に見て、80%の消費者は「ソーシャル・グッド」な企業から商品を購入したいと答え、そして34%はそうした企業には定期的に報いたいと考えています。一方で、悪影響を与える企業に対しては、あえて無視したり罰したりもします。

しかし私たちの新著『The Purpose Revolution-How Leaders Create Engagement and Competitive Advantage in an Age of Social Good』で掘り下げたように、サステナブル・ブランドにも大きな課題があります。

消費者はグッド・カンパニーから購入したい(そして悪い企業は罰したい)と願っているものの、購入している企業が実際に「ソーシャル・グッド」であるという自信があると答えた人はわずか6%しかいません。別の言い方をすると、消費者は企業が伝える優良企業であるというストーリーに対して懐疑的で、困惑しているのです。市場に溢れ返っているグリーン・ウォッシュや一貫性のないメッセージの量を考えると、驚きはないかもしれません。

企業はプラスの価値やCSRについて語るときに、複合的な問題に直面します。マーケティング担当者にとっての課題は、消費者は広告やソーシャルメディアで語られるあらゆる企業のメッセージを、およそ16%しか信じないという事実です。

消費者が信じるのは誰か

消費者が私たちの企業や価値を選択してくれるようにするために、私たちはどう「ソーシャル・グッド」な会社であることを伝えれば良いのでしょうか。

実は、企業はとても重要な資源を持っています。それは、従業員です。調査によると、企業が伝えることは16%しか信じないものの、従業員が企業に対して語ったことは52%も信じると答えています。

従業員が発信しているソーシャルメディアでの企業情報をシェアする割合は最大で、企業自身が発信するより10倍高いのです。もし良い企業から商品を購入したいという消費者の気持ちに応えたければ、従業員が自社ブランドのパーパス大使になり得るかを判断して、彼らにパーパスに関するストーリーを伝えてもらう努力を真剣にすることが必要になります。

従業員はパーパス・ストーリーを信じているか

あなたの会社の従業員が、最も信頼できるパーパスの伝道師であるために、最初の課題となるのが、従業員自身があなたのパーパスに共感できるかどうかです。パーパスは、従業員の共感を呼ぶものでしょうか。正当なものでしょうか。企業の真実の瞬間(Moment of truth:顧客との接点)において、確固たるものであるでしょうか。

多くの企業はこれらの質問に答える術を持っていません。もちろん、アンケートもチーム内にどれほどパーパスが浸透しているかを測定する方法の一つです。フォーカスグループ(定性調査)も有効な方法の一つと言えます。

現実に目を向け、従業員に、彼らがパーパスを理解しているか、そしてパーパスは正当なものかを尋ね、パーパスに沿ってないと感じる決定事項がもしあれば、異論を唱えてもらいましょう。彼らはあなたのビジョンを外の世界に広めて行くことに完全に前向きでしょうか。もし少しでも違和感があるようだったら、彼らの感じる課題に対処することが最初のステップとなります。

前ホール・フーズの共同経営者であるウォルター・ロッブ氏にインタビューをした際、彼は「従業員があなたがパーパスに対して本気かどうかを判断する指標の一つに、あなたが短期目線のビジネスのためではなく、パーパスに基づく決断をするかどうかがあります」と語っていました。

ホールフーズでもそうした経験がありました。サステナブルではないシーフードの販売を中止することは、収益性に影響を与えることですが、消費者がラベルに基づいて選択できるようにするためには不可欠なことでした。ロップ氏は、その時のことを振り返り、「結果として、従業員から信じられないほどの良いフィードバックがありました。私たちがパーパスに対して真剣だということが伝わったのです」と言っていました。あなたがパーパスに従って生きていることを従業員が知れば、チーム全体の共感を呼び、会社に対して誇りを持つようになります。

多くの企業は、従業員が会社のパーパスやソーシャル・グッドなストーリーに関してどのように感じているかを聞くことを恐れています。しかし、勇気を出して、より優れたパーパスの伝道師を生み出すために必要な意見を知ることは偉大な一歩です。

従業員がパーパス・ストーリーを語れるように努めているか

第一の関門を乗り越えたら、目標に近づいている証拠です。あなたのパーパスも確固たるものになり、あなたの従業員達もパーパスを信じているでしょう。次のステップは、あなたの従業員がソーシャル・グッドなストーリーを語ることを可能にすることです。つまり、従業員に企業のパーパスに基づく行動を一貫して示し、彼らがシェアできる内容を提供することです。

私たちのお気に入りの事例は、社会的利益とサステナビリティを大切にする、私達のクライアントの一つである大手銀行です。その企業は、大手企業では一般的にストーリーは薄まってしまうことを心得ています。そのため、全てのリーダーに銀行の社会的意義とサステナビリティへの挑戦に関する情報を定期的に共有するようにしています。そして、統計や図表やビデオを含む最新の情報を伝達しあうチャンネルも設けています。また、マネージャーはミーティングの際にパーパスに関して話し合う時間を意図的につくり、スタッフがどのようにクライアントに関わりながら、企業のパーパスを体現しているかを話し合えるようにしています。

企業が犯しがちな最も残念な過ちの一つに、パーパス・ストーリーを顧客や社会に伝えために打ち出す巨大なキャンペーンがあります。それよりもむしろ、良いストーリーを企業内で広めるコミュニケーションに努力を払うべきです。他の全ての条件が同じであれば、従業員間のコミュニケーションと社外向けのコミュニケーションの流れを逆にすべきです。企業内で本当のストーリーを語り合うために力を費やし、従業員が世界に対して発信していく大使になるように力づけるのです。

従業員がパーパス・ストーリーを語れるよう後押ししているか

もし、あなたの従業員を本物のパーパスの伝道師にしたいのであれば、最後に自問することが必要です。あなたは、あなたの従業員が伝道師になれるように後押し(エンパワーメント)をしているでしょうか。

エンパワーメントは、従業員にストーリーを共有することをお願いすることから始まります。対面でも、ビデオやソーシャルメディアを通してでも可能です。あまりに多くの経営者やリーダーが、従業員にブランドの大使になることを依頼していないという事実には驚きます。多くの従業員は彼等自信が最も重要な資源であり、大切な役割を果たしていることに気がついていないかもしれません。この真実を伝え、ストーリーを共有してもらうようにしましょう。

あくまでも、彼等の邪魔をしないように!多くの企業はブランドやブランドイメージに固執しすぎるため、従業員が自分自身の言葉でストーリーを語れないようにしています。本当の意味での大使になってもらうためには、企業のコミュニケーション戦略は隅に置き、彼等自信の言葉で、彼等のやり方で伝えてもらうことが重要です。

正真正銘のストーリー・テリングといえる良い例があります。米シスコシステムズの前CEOであり会長のジョン・チェンバース氏が、マーケティング費用の一部を、同社で働くことをなぜ選んだかをYouTubeで紹介する従業員に高機能ビデオカメラを買い与えました。つまり、企業は従業員にストーリーを語ることを促しましたが、どうやって語るかは指示しなかったのです。結果的に、数百、数千もの再生回数を記録しました。企業のパーパスを実際にそこで働く従業員から聞くことは、最高の広告会社が製作したハイクオリティのビデオよりも断然影響力があります。これ以上に信頼感のある情報を伝えることはできません。

消費者との情報ギャップを埋める

私たちの本では、「ソーシャル・グッド」な会社から商品を購入したいという消費者の望みと、彼等が持っている情報のギャップについて説明しています。企業の良さをアピールする戦いにおいて、従業員が果たせる重要な伝道師としての役割を見逃していることが多くあります。3Mの社員をインタビューした時に最も驚きだったのは、企業のサステナビリティに関する取り組みに対して100%完全に肯定的だった人が一人もいなかったことです。

だから、あなた自身にこの3つの重要な質問をして欲しいと思います。

1.あなたは自社のパーパスが真実のもので、実行されていると感じていますか。
2.あなたは従業員が良いストーリーを語れるように、ホンモノの情報を与えていますか。
3.あなたは従業員がストーリーを語れるように力づけ、彼等自身が語れるように、自分を脇において考えていますか。