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ファッションと環境負荷 変化求められる業界

米国サステナブル・ブランド編集部
Image Credit: RawPixel


世界のアパレル業界と靴業界を合わせた業界規模はおよそ1.7兆ドルになると言われており、ミドルクラス層の今後の増加とともにこの数字も増えて行くだろ。もちろん、業界の地球に与える影響も増えることになる。(翻訳:梅原 洋陽)

消費者の考え方の変化や、資源の減少、そして気候変動という難題に直面しながらも、ファッション業界の未来を明るいものにするために、ブランドは環境パフォーマンスを向上する有効な戦略を打ち出す必要がある。手立てを探るには、まず現在の状況をきちんと把握することが重要だ。

スイスのコンサルティング会社Quantisと米NGOのClimateWorks Foundationは最新の報告書の中で、ブランドが環境への影響を軽減する目標を立てる際に注目すべき領域を提示している。

ファッション業界の環境負荷、画期的報告書が発表

「ファッションの測定:世界のアパレル・靴業界が環境に与える影響の実態」という研究報告は世界的なアパレル企業と靴企業の環境への影響を調査した初の試みだ。この研究は企業の繊維生産、原料抽出から生産終了段階と言った7段階におけるバリューチェーンと5つの環境に関する指標(気候変動・資源・取水・エコシステムの質・人間の健康)を分析している。

「ブランドにサステナビリティを求める声は強くなっています。私達は、業界やバリューチェーンにどのような環境パフォーマンスが期待されているかを感じ、どのような解決策が考えられるかを検討してきました。しかし、ファッションの与える影響は大きいであろうと言うことは分かっていても、科学的にどう言ったことを意味するのかは把握できていませんでした。今回の報告はいくつかの課題に対する答えを示し、仮説を含んではいるものの、行動を起こす指針となります」とQuantisで上級サステナビリティ・コンサルタントを務めるアナベル・スタム氏は言う。

ファッションブランド、特にSBTイニシアチブ(平均気温の上昇を2度未満に抑える)に加盟している企業は、自社が環境に与えている影響を正確に把握する必要がある。World Apparel Lifecycle Databaseの業界データとマルチ・インディケーター・アプローチの観点からすると、「ファッションの測定」研究は情報の隙間を埋め、企業が真の意味でのサステナブルな目標を設定し、科学的な決定を下し、そして効果的な行動を起こす大きな手助けをすると言えるだろう。

「理にかなった決定を下すには質の高い情報が必要です。この研究は織物業界としてどのような行動を起こせるかを考える上で非常に有益な視点を与えてくれています。課題に圧倒され、麻痺している場合ではありません。小さな決定や行動であっても積み重なっていきます。新たなビジネス思考と積極的関与が必要だと思います。最も懸命な選択をしましょう」とテキスタイルエクスチェンジのラリア・ペッパー代表は言う。

世界全体の8%の温室効果ガスを排出

研究報告によると、世界のアパレル業界と靴業界を合わせると、世界全体の8%の温室効果ガスを排出しており、ほぼEUの総カーボンインパクト量に匹敵する。排出の大部分は繊維生産(15%)、糸の加工(28%)、染色と仕上げ(36%)に由来している。他の業界と変わることなく、今後アパレル業界の環境への影響は49%増加し、アメリカの温室効果ガス排出量と同等になるだろうと言われている。

「衣服は日々購入するものであり、ファッショントレンドはより早く、そしてより安くなっていることは誰が見ても明らかです。しかし、新しいシャツや靴がどれだけカーボン・フットプリントやウォーター・フットプリントに影響を与えているかを知っている人はほとんどいません。QuantisとClimateWorks Foundationはアパレル業界のサプライチエーンと環境の繋がりを明確に示しました。この研究はブランド、製造者、そして消費者がよりサステナブルな生活を選択する大きな助けになるでしょう」とClimateWorks Foundationのヘレン・ピコット氏は語った。

未来のハンドルを握る業界リーダーや専門家達がこの研究に多くのフィードバックや知見を提供した。Sustainable Apparel Coalitionの代表のジェイソン・キビー氏、Brooklyn Fashion + Design AcceleratorとPratt Center for Sustainable Design Strategiesで取締役を務めるデベラ・ジョンソン氏、C&A Foundationのプログラム・マネージャーのメーガン・マギル氏、テキスタイルエクスチェンジのラリア・ペッパー代表、そして自然資源保護協議会の主任研究員リンダ・グリア氏だ。