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世界で最も持続可能な100社発表 日本は積水化学など3社が入る

カナダのメディア・投資調査会社『コーポレート・ナイツ』は19日、2022年の「世界で最もサステナブルな企業100社(グローバル100インデックス)」を発表した。売上高が10億ドル以上の上場企業約7000社から1位に選ばれたのは、デンマークの風力発電機大手ヴェスタス。日本企業は昨年5社がランクインしていたが、今年は積水化学工業、エーザイ、コニカミノルタの3社となった。『コーポレート・ナイツ』は、「過去1年間、サステナビリティという概念は常に進化してきており、最も勤勉な企業であってもそれに合わせて進化していかなければならない」としている。(小松遥香)

毎年1月に発表されるグローバル100インデックスは今年で18回目を迎えた。『コーポレート・ナイツ』によると、2005年からの総投資収益率は、世界の主要株で構成するMSCI全世界株指数(ACWI)が279%で、グローバル100は331%という。

トップ20

1位 ヴェスタス・ウィンド・システムズ (デンマーク、機械)
2位 クリスチャン・ハンセン (デンマーク、食品・飲料)
3位 オートデスク (米国、ITサービス)
4位 シュナイダーエレクトリック (フランス、産業コングロマリット)
5位 シティ・デベロップメント (シンガポール、不動産)
6位 アメリカン・ウォーター・ワークス・カンパニー (米国、水道)
7位 オーステッド (デンマーク、発電)
8位 アトランティカ・サステナブル・インフラストラクチャ (英国、発電)
9位 ダッソー・システムズ (フランス、ITサービス)
10位 ブランブルス (オーストラリア、コンテナ・ロジスティクス)
11位 シムズ (オーストラリア、金属リサイクル)
12位 ジョンソンコントロールズ・インターナショナル (アイルランド、空調機器)
   ケリング (フランス、小売) 
13位 コーニンクレッカ (オランダ、電気通信)
14位 マコーミック・アンド・カンパニー (米国、食品)
15位 シュニッツァー・スチール・インダストリー (米国、金属リサイクル)
16位 トランスコンチネンタル (カナダ、パッケージ・印刷)
17位 スタンテック (カナダ、コンサルタント・サービス)
18位 カスケイド (カナダ、パッケージ)
19位 エヴォクア・ウォーター・テクノロジーズ (米国、機械)
20位 北控水務集団 (香港、水道)

詳細

日本企業

22位 積水化学工業 
32位 エーザイ
53位 コニカミノルタ

昨年のランキング

グローバル100に選定された企業の「クリーンな収益(環境・社会への貢献度の高い製品やサービスから得た収益)」の割合は47%(昨年は41%)、ACWIでは30%。ただし、グローバル100とACWIのどちらも納税額比率(納税額を過去5年間のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で割算したもの)は13%で同等だった。

脱炭素においては、グローバル100の企業は排出する炭素1トンあたりの生産量がACWIの平均的企業の4倍以上、消費されたエネルギー単位あたりの生産量はほぼ8倍に上るという。なおグローバル100のうちSBTイニシアティブに署名している企業は65社。

CEOと従業員の給与比率については、グローバル100は111対1だが、それ以外の企業は124対1から140対1へと給与格差が広がっている。また、グローバル100のうち87%の企業は役員報酬とサステナビリティの目標達成を連動させているという。

世界85カ国で事業を展開するヴェスタス

(In Stock)

1位のヴェスタス・ウィンド・システムズは1898年、デンマークで鍛冶屋として創業した。第二次世界大戦を経て、ヴェスタスという社名で事業を始める。油圧クレーンの世界的メーカーだったが、1970年代後半から風力タービンの開発を非公式で開始した。公にしなかったのは顧客やサプライヤーに嘲笑されるのを避けるためだったという。

同社は現在、世界最大の風力発電機メーカーとなり、世界の風力発電設備容量のおよそ5分の1を担っている。日本では三菱重工と昨年2月に合弁会社「MHI べスタスジャパン」を設立した。

ヘンリック・アンデルセンCEOは「われわれの地球にとってより持続可能な未来を構築するには、さらに多くのことに取り組まなければならない」と語る。同社は2020年にサステナビリティ戦略「Sustainability in Everything We Do」を掲げ、「カーボンフットプリント削減」「循環」「人」「エネルギー転換」を柱に据える。

今後、サプライチェーンのCO2排出量の半分以上を占める風力発電機に使われている鉄鋼の製造過程での脱炭素化を進める。さらに、発電機で唯一リサイクルが難しい複合材でできた羽根(ブレード)のリサイクル方法の開発と循環型製造の実現に向けて取り組んでいく方針だ。

グローバル100にみる世界の潮流

グローバル100にランクインした企業の多くがテクノロジー企業で、その分野は電気通信や半導体、コンピューター、ビジネスサービスプロバイダーなどさまざまだ。例えば、ゼロックス(26位)やセールスフォース(27位)、アルファベット(36位)、アップル(48位)などが名を連ねる。

銀行もランキングの1割を占める。ブラジル銀行(21位)、伊ウニクレディト(59位)、独コメルツ銀行(60位)、蘭INGグループ(61位)、仏BNPパリバ(76位)など10行が入った。

『コーポレート・ナイツ』は、ブラジル銀行について、同国のCO2排出量の多い牛肉・木材産業に投資をしているが、サステナブル・ファイナンスのリーダーとして、責任あるビジネスが行われているかという視点からスクリーニング(選出)していると説明。同行はエネルギー生産性やクリーンな収益の割合、CEOと従業員の給与比率などの指標でも高評価を得て21位となった。

今年新たにグローバル100にランクインした企業は17社。その中には、米国の総合水処理エンジニアリング企業エヴォクア・ウォーター・テクノロジーズ(19位)と香港の水処理システム開発企業のベイジン・エンタープライジズ・ウォーター・グループ(北控水務集団、20位)が含まれている。これについて『コーポレート・ナイツ』は、世界で水問題の重要性が高まってきていることの現れだと説明する。

さらに、中国からは太陽光発電用ガラスメーカーのシンイー・ソーラー・ホールディングス(信義光能、42位)と太陽電池メーカーのロンジー・グリーン・エネルギー・テクノロジー(隆基緑能科技、47位)が新たに加わり、EVメーカーのビー・ワイ・ディー(比亜迪、100位)を含め3社がランクインした。『コーポレート・ナイツ』は、世界最大のCO2排出国・中国でサステナビリティ(持続可能性)が定着し始めているのではないかと推測する。

このほか、日本近隣の企業では、台湾積体電路製造(TSMC、44位)、サムスンSDI(46位)、LGエレクトロニクス(99位)が入っている。

自動車メーカーは、中国ビー・ワイ・ディー(100位)とテスラ(52位)の2社のみだった。これは『コーポレート・ナイツ』が新たに採用した「クリーンな収益」「クリーンな投資」の基準でハイブリッド車が「クリーン」とみなされなくなったことも関係している。

地域別では、欧州企業が41社と最も多く、その次が米国の39社、アジア太平洋地域からは20社だった。グローバル100が始まって以来、ランクインし続けているのはフィンランドの小売大手「ケスコ」だ。

評価方法

ランキングの調査対象は、総売上高10億ドル以上の上場企業約7000社。企業が開示する財務報告書やサステナビリティ報告書、ウェブサイトの情報をもとに24のKPI(重要業績評価指標)から各社を評価している。

評価指標に含まれるのは、エネルギー生産性、温室効果ガス排出量、水生産性、廃棄物生産性、揮発性有機化合物生産性、窒素酸化物生産性、硫黄酸化物生産性、微小粒子状物質生産性、クリーンな収益(コーポレート・ナイツのクリーン・エコノミー・タクソノミーに基づき「クリーン」と分類される、環境・社会への貢献度の高い製品やサービスから得た収益)の割合、クリーンな投資(同タクソノミーに基づき「クリーン」と分類されるR&D、設備投資、買収など)の割合、負傷者、死者数、離職率、有給病気休暇、CEOの報酬と従業員の平均報酬の比率、サステナビリティ目標と連動した役員報酬制度、男性以外の執行役・取締役の割合、執行役・取締役の人種多様性、サプライヤーのサステナビリティ・スコア、納税率、企業年金の質、罰金・違約金などの制裁。

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小松 遥香 (Haruka Komatsu)

Sustainable Brands Japan 編集局デスク。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。