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変化する金融(1):モルガン・スタンレー、投融資に関連する温室効果ガスの排出量を公開へ 

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米国の金融機関で気候変動への取り組みが進んでいる。米投資銀行モルガン・スタンレーは7月20日、気候変動のリスクと機会に関する取り組みを評価し開示する同社の取り組みの一環で、『Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)』とその運営委員会に米国の国際銀行として初めて参加することを発表した。PCAFは、融資や投資に関連する温室効果ガスの排出量の評価・開示のための対策を行う金融機関の国際的なパートナーシップ。世界中の金融機関が参加しており、資産規模は5.3兆米ドル(約560兆円)を超える。(翻訳=梅原洋陽)

モルガン・スタンレーは、PCAFがすべての金融機関が気候変動への影響を測定・削減するために利用できる会計基準の策定を支援するために、見識や専門知識を提供する。ESGを推進する株主擁護団体「As You Sow」は、2020年株主決議をモルガン・スタンレーに提出した。しかし、モルガン・スタンレーがPCAFなどの排出量測定方法を評価することについて合意した後、今年初めに決議は撤回された。

「モルガン・スタンレーは融資に紐づく温室効果ガスの排出量を公開すると約束したことで、重大な一歩を踏み出した」と「As You Sow」代表のダニエル・フジェール氏は語る。

「本当に長い間、米国の大手銀行は排出量の計算が複雑すぎるということを理由に、排出量への責任を否定し、対応を遅らせてきた。しかしモルガン・スタンレーの取り組みは、銀行が、経済全体にもたらす気候危機のリスクを軽減するために動かなければならないことを示している。これは待ったなしの取り組みだ」

「As You Sow」によると、ウェルズファーゴ、ゴールドマンサックス、バンク・オブ・アメリカといった金融機関とも同様の合意に達したという。これらの企業は先日、ロッキーマウンテン研究所による新たな「Center for Climate-Aligned Finance」に参加した。JPモルガンもAs You Sowによる2020年株主決議がほぼ多数決で可決されたことを受けて参加を決めている。気候危機の差し迫った影響や世界経済への波及効果に対する投資家の懸念が高まっており、大手銀行は強い圧力を受けている。