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サプライチェーン内労働者の実態把握へ新たなプラットフォーム

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ニティン・コカ
IMAGE: ULULA

サプライヤー管理のプラットフォームを提供するSupplyShiftと、社会的企業Ululaの新たな提携により、サプライチェーン内での従業員の扱われ方を企業が把握しやすくなるだろう。労働者の権利を向上させ、世界中の強制労働を減らすことが期待されている。(翻訳=梅原 洋陽)

「この連携により、従業員のフィードバックをサプライチェーン・マネージメントに組み込む事が可能となり、透明性が向上し、責任ある調達を促す点において画期的でしょう。企業は労働環境に関するより良いデータを得やすくなり、サプライチェーン内に良い変化を生み出す助けになると思います」とUlulaの創設者でありCEOのアントワーヌ・ヒューティー氏は語った。

実業界にいる多くの人は、人身売買、児童労働など様々な形での現代版奴隷がサプライチェーン内で蔓延っていることを知っている。国際労働機関(ILO)によると、2016年の時点で、世界中で強制労働を強いられている人が2490万人いると発表しているが、特定企業のサプライチェーン内の状況に関するデータを得ることは容易ではない。

今回の連携は、大きく異なる2つの企業が力を合わせることで、強制労働問題に対処していくことを目的としている。

新しい企業であるUlulaは、テクノロジーを通して、より透明性がありエシカルなサプライチェーンの構築を目指している。ユーザーにとって分かり易いインターフェースを使い、携帯電話から匿名で、世界中の労働者からデータを収集する。GanazLaborVoices、そしてLaborlinkなどのツールを活用し、労働者から直接フィードバックを集め、企業に責任を追求できるようにしている。

「従業員から集めた直接のデータやフィードバックは、より公正な調達に関する意思決定を促します。それは雇用者にとって、従業員の労働・社会慣行を改善するための実用的な指針にもなります」とヒューティー氏は言う。

SupplyShiftは規模も大きく定評のある企業である。同社の包括的なプラットフォームを通して、企業は効率性を高め、リスクを削減しながら供給者ネットワーク全体を分析することができる。Ululaから供給されるデータを追加することで、SupplyShiftはクライアントにより良いサービスを届けられるだろう。

「Ululaのデータが加わることで、企業はサプライヤーを選択するときに、自社の企業理念に合致する企業を選択することが可能になります」とSupplyShiftのボブ・ヤング営業部長は言う。

UlulaとSupplyShiftの次なる取り組みとなるのは、顧客のニーズに合う製品を開発し、正しい意思決定者に、労働者の潜在的なリスクに関するデータを提供することだろう。

ヒューティー氏は、「企業が労働者の声をサプライチェーンの中に組み込み、責任ある調達をより行いやすくすることを目指しています。匿名の率直なフィードバックを企業が容易に得られるようにし、労働者への虐待を無くし、労働環境の改善に努めたいです」と述べる。

SupplyShiftが掲げる目標は、一般的なビジネス基準と同様に、労働リスクに基づいてサプライヤーの決定を下すことを容易にすることだ。

「SupplyShiftとUlulaのデータやテクノロジーが、全てのサプライヤーのあらゆるレベルの情報を統合された形で可視化することが最も望ましい。そしてその情報が、値段や品質といった通常の判断基準と等しく扱われるようになれば、調達活動に影響を与えられるでしょう」とヤング氏は言う。

ツールは新しく、まだ幅広く利用されている訳ではないが、ヒューティー氏は「クライアントからはサプライチェーンの実情をより深く理解し、評価・説明するのに役立つと好評を頂いている」と述べている。