サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)
特集:SB’19 Detroit

テクノロジーとイノベーターの力で社会を変革する

  • Twitter
  • Facebook

「何もかもがかつてないほどの速さで変化している。産業界も社会もコミュニティも。それは価値観も同じで、人々が何に価値を置くのかも変わり、もはや財務情報だけで企業が評価されることはない」

そう語ったのは、独SAPイノベーション・サービス・アンド・ソリューショングローバル統括のマギー・バギー氏だ。

今月初めに米国・デトロイトで開催されたサステナブル・ブランド国際会議 2019本会議に登壇したバギー氏は、成長を続ける企業の条件について、「パーパス(存在意義)に基づいてビジネスを行う企業」「倫理的責任だけでなくスチュワードシップ責任を持っている企業」「資源を効果的に管理している企業」「資源不足に備えている企業」「循環という視点から消費を捉えている企業」の5つを挙げた。

バギー氏は「世界の経済活動のうち循環型なものはわずか9%しかない」と指摘。この状況に対し、SAPは世界の77%の商取引に同社製のシステムが使われているというメリットを生かし、さまざまな解決策を生み出そうとしている。

その一つが「SAPプラスチック・チャレンジ」だ。170人の科学者やイノベーターなどを集め、廃棄物削減に向けた新たな取り組みを行うために、プラスチック製品のサプライチェーンの情報を収集するプラスチック・クラウドを開発している。さらに、同社はGoogleと協働し、サーキュラーエコノミーの実現を目的に、データ分析や機械学習技術をつかった収益創出事業を考える社会起業家に出資するコンテスト「サーキュラーエコノミー2030」を実施した。ファイナリストには、食品や繊維、バッテリーなどさまざまな分野から5人が選ばれたという。

このほか、米大手水産加工Bumble Bee Foodsと協働し、ブロックチェーン技術を使い、キハダマグロが食卓に届くまでの過程を開示。消費者がパッケージに貼られたQRコードからその過程を調べられる「オーシャン・トゥー・テーブル」という取り組みを行っている。

バギー氏は「トップランナーであるためには、世界の課題解決を後押しし、信頼を構築するために社会的、倫理的責任を持つ必要がある。信頼というのは、現代の社会において新しい貨幣であり、最も価値のある貨幣だ。そして信頼を築く最適な方法は、行動することだ。変化を生むために、私が持ちうる力や能力、情熱すべてを使いたい。私たちが変化そのものなのだ」と熱く語った。

小松 遥香 (Haruka Komatsu)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。