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P&G、日本の海洋プラごみ使い洗剤ジョイの容器を製造へ

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日本で海洋プラスチックごみの対策が一段と進展する。米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)日本法人は今秋から、国内の海洋プラスチックごみをリサイクルした素材を使った台所用洗剤ジョイの容器を国内で製造し、販売する。P&Gは2030年までに、同社製プラスチック包装材の海への流出をゼロにすることを目指し、海洋ごみの調査や管理に着手。さらに同年までに、包装材を100%リサイクル・再利用する方針を掲げている。すでに海外では、2017年夏から海洋プラスチックごみをリサイクルした容器の製品を販売している。(サステナブル・ブランド編集局=小松遥香)

P&G日本法人は、今秋発売のジョイの詳細についてまだ明かしていないが、欧州ではすでにシャンプー「Head & Shoulders(ヘッド・アンド・ショルダーズ)」と台所用洗剤「Fairy(フェアリー)」の容器を同地域の海洋プラスチックごみ(以下、海洋プラごみ)をリサイクルした素材を使って製造している。前者の容器の素材には海洋プラごみからリサイクルしたプラスチックを25%使い、後者の素材には10%の海洋プラごみと90%のそのほかの廃プラをリサイクルしたプラスチックを使用。これらは、リサイクル業を行う米スタートアップのテラサイクルと現地の廃棄物管理業者との協働で実施されている。

現在、来日中でP&Gのチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)を務めるヴァージニー・ヘリアス氏は、海洋プラごみを使った容器を販売する最大の意義について、「海洋ごみ問題に対する認識を高めること。それによって、消費者に問題解決のために何ができるのかを考えてもらうことができる。大きな市場を持つグローバルブランドが行うことで、問題解決につながるひとつのムーブメントを巻き起こすことができる」と語る。

国内の海洋プラごみを使った容器を日本市場に初めて投入することに対し、日本法人の広報渉外部は、「国内でも海洋プラスチックを使った製品パッケージを展開することで、海洋ごみ問題やリサイクルに対して、より多くの方の意識変化を促すことに繋がると考えている」と話した。

P&Gは2018年、長期ビジョン「AMBITION2030」を発表。責任ある消費を促進することを前面に掲げ、ブランドの力で社会を良くし、発展させることを目指している。なかでも、パッケージのリサイクル・再利用に力を入れており、2025年までに新たな素材やデザイン、リサイクル技術を導入するなどして、95%近くの商品の包装材をリサイクル・再利用したものに切り替える計画だ。

同時に、2030年までにP&Gの容器の海洋流出をなくすために、プラスチックごみの流出が問題視されている東南アジアなどの特定地域での廃棄物管理や回収技術の開発にも着手。このほかに、アルミやステンレス製の金属容器を使った商品を発売し、金属容器に入った商品の自宅などへの配達・回収を行う米スタートアップのテラサイクルのサービス「ループ」を活用することで、プラスチック容器の使用削減も進めている。

小松 遥香 (Haruka Komatsu)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。