食品廃棄禁止法
世界では3分の1の食料が廃棄されている
|
国際連合食糧農業機関(FAO)の調査によると、世界で消費向けに生産された食料のうち、約3分の1にあたる年間13億トンが廃棄されているという。
いまや食品ロスの削減は国際的課題だ。そんななかフランスで成立したある法律が話題になった。2016年2月に議会が全会一致で成立させた「食品廃棄禁止法だ」。
同法の特徴は食品ロスと貧困の同時解消を志向していること。具体的には大型の小売店(のべ床面積400平米以上)に対して、食料提供で貧困者支援を行う団体(フードバンクなど)との契約を義務付ける。
違反者には罰則(罰金または禁錮刑)も課す。そのうえで小売店は余剰食品(賞味期限が近いものなど)を仕分けて、食料に適するものを支援団体に寄付、適さないものを飼料や肥料に転用しなければならない。
法制化を仕掛けたのは、パリ近郊のクールブヴォワ市の市議会議員であるアラシュ・デランバーシュ氏。イラン人移民の子として生まれ、自身も生活苦を経験した中で同法の着想を得たという。
彼は署名サイトで20万人超の署名を集めることに成功。法制化の原動力となった。
文=もり ひろし
*オルタナ45号(2016年9月)「ALTキーワード」から転載