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ブランドの新たな試み:包装資源を郵便でリサイクル

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トム・ザッキー
Image credit: Walkers

リサイクルを徹底すべき、プラスチックストローは使用すべきではない、など消費者への要求は強まるばかりである。買い物にはエコバッグを持参し、食品ロスを減らすためにコンポストも勧められている。「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、大惨事を免れるための大規模な変化を起こすのに残された時間はおよそ12年間しかないと伝えている。(翻訳=梅原洋陽)

しかし、環境破壊の原因は消費者にだけある訳ではない。たった100の企業が世界の温室効果ガスの71%を排出しており、ほとんどのプラスチック汚染は10の消費財大手企業に由来するとされている。一度使っただけで破棄される割合が95%を占めるプラスチック容器を生産している企業は、地方自治体ではリサイクルできず、埋め立てられるか、ゴミとなるしかない製品を作り続けている。消費者はそれにかかるコストを税金と自分の健康へのリスクという形で支払っている。

環境へのアクションを個人に求めることは、本質的な問題から目を反らすことになる。元々の生産のあり方や、消費されるシステム自体が破壊的であるのは企業の行動によるところが大きい。消費者が主要な責任を負わされていることに気がつくにつれ、包装廃棄物の問題に関して声を上げ、企業に責任を追求する動きが始まっている。

今年の初めに、インドの女子学生達が食べ物の包装紙を2週間集めたようだ。結果は驚くべきことに、20244枚もの包装紙が集まり、その大半は2つの製造者からのものであった。彼女達は包装紙に手紙を添えて製造者に送り返した。

「美味しくて質も高い製品には満足していますが、プラスチック包装には不満足です。将来の世代に安心できる環境を確保し、プラスチック・フットプリントを最小限にしたいです。そこで、安全に処分してもらうために、あなたの会社の製品のプラスチック包装紙を集めて送らせていただきます。私達が罪悪感をもたずに、あなたの会社の美味しい食べ物を味わえるように、どうか地球に優しい包装を検討してください」

2社からの回答はまだ発表されていないものの、このキャンペーンはメディアで大きく取り上げられ、日用消費財を生産している企業にプラスチック廃棄物問題の責任があることを示した。食料品製造業に、環境に対してより良い行動を公に求めて行くことは勇気ある行動だ。消費者のニーズに応えることが企業の役割であるように、このようなメッセージに対して行動を起こし始めた企業は増えて来ている。

例えば、イギリスの最大のお菓子会社であるウォーカーズ(ペプシコが母体)は私の会社であるテラサイクルと共同で、イギリスで初となる、ポテトチップスの空き袋を郵便でリサイクルできるプログラムを開始する。12月から正式に運用されるこの試みは、ウォーカーズ製品に限らず、どのポテトチップスの空袋も郵送が可能であり、新たな製品にリサイクルされる。この取り組みは、多くの家庭、学校や企業、そして個人が、従来はイギリスでリサイクルできなかった包装紙を、使用しやすくするだろう。

テラサイクルは世界最大規模の企業や新鋭のブランド、そして企業と小売店を結びつけながら、郵便や簡単に実施できるリサイクルシステムを21世紀の消費者に提供している。サステナビリティをパッケージデザインに組み入れることで、包装廃棄問題の責任を消費者から生産者に戻すことが可能となっている。消費者はサステナビリティのために、生産者を選別し、多く支払うことをも厭わないからだ。

環境に優しい施策を進める政府の取り組みを待つ一方で、消費者の熱意とこだわりにより、消費者がより良い包装を要求し、製品がどのように処分されるべきかを主張できるようになって来ている。ブランドが自社製品に責任ある行動を取ることは、意識の高い消費者からの批判を避けるだけでなく、環境への行動を推進するリーダーとしての立場を確立していくことにつながる。