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2016 SBサンディエゴ会議レポート(4)

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Lauren Hare

マーケティング部門がどうしたらサステナビリティの優先事項を評価し、それを導入し、そして拡散することができるか

サステナブルブランド会議の出席者にとって、自分たちが社会的な影響力の真っ只中にいることは公然のことだ。CSR戦略者から、気候変動のエキスパート、サステナビリティの技術者まで、我々は、全力でビジネスと社会的目的を統合し、この世界をより良いものにするために力を注いでいる。(翻訳編集:寺町幸枝)

コカ・コーラ社のグローバルマーケティングディレクターのリカルド・カセレス氏は、そんな人々に念を押す。

「我々はサステナビリティにシフトしなくてはならない。それを(これまでのように)人道的な観点から語りかけるのではなく、マーケティング的価値を持たせる形で実現しなければならない」

カセレス氏の言葉に会場は大きく頷いた。サステナビリティに対する火急を要する状況と、マーケティングという観点、そしてビジネスゴールというこれまでバラバラだった点と点を一直線に結びつけるという挑戦に、彼も挑んでいるのだ。

初日の#SB16sdでは、カセレス氏と彼の元同僚で現在ジョージア工科大のマーケティング教授であるオマー・ロドリゲス=ヴィラ氏が、「サステナビリティ部門とマーケティング部門のギャップ」についての議論を進めた。

3時間に渡る講座の中で「CSRやサステナビリティチームが、社会的影響力ある優先事項やプログラムまたゴールを拡散するという鍵を握る意思決定をさせるため、マーケターをいかに導くか」について実践的な例を挙げて講義を行った。

彼らは議論の中で「マーケティングの重要課題に対して、サステナブルな強みが影響力を持つようにしておかねばならない」という1点に注力した。例えば、消費者がもっとブランドのサステナビリティプログラムへの認知が深まることで、ブランドそのものへの信頼をさらに深めることができる、といったことだ。

カセレス氏はまた、多くのマーケティングのプロたちは、サステナビリティに関する自社の計画や、その公約について認識しているにも関わらず、なぜマーケティングマネージャーが、サステナビリティとブランドマーケティングを融合したがらないかについても言及した。

要約すると、マーケターは次のような理由から、サステナビリティ戦略を優先することを躊躇している。

1)考え方:サステナビリティは環境問題や緑化戦略の延長になくてはいけないという枠に捉われている。

2)ノウハウ:マーケターは、サステナビリティをブランドの成長のニーズにとは無関係だと考えている。

3)限られたリソース:サステナビリティは、しばしば低いROIを伴う高額の費用がかかると思われている。

4)ビジネスインテリジェンス:サステナビリティはしばしばCFOやCMOから、「バックオフィス」的な役割とみなされ、オペレーションの効率化や、サプライチェーンマネージメントだけに注力している。

ここでロドリゲス=ヴィラ氏はサンチップス社のプラスティックバッグの事例を紹介し、サステナビリティプログラムが、製品と消費者の期待を一つに結びつけた良い例を提示した。

サステナビリティは、マーケティング上のコミュニケーションにおける目的達成のための、架け橋でなくてはならない。社会的な影響力が、消費者との対話の前線においていかに重要なのか。サステナビリティに関する対話が、専門性に捉われず、さらに多くの人の人生に影響を与えることを願う。