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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

2016 SBサンディエゴ会議レポート(1)

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Nicole Cruz
Image credit: Randy Tunnell/SB

サステナブル・ブランドの先駆者たち

ホールフーズやトヨタはどうやってサステナビリティをビジネスに取り入れ、成功させてきたのか。いわゆる「グリーン・ジャイアント」と呼ばれる企業がここ最近増えている。「グリーン・ジャイアント-賢い企業はどうサステナビリティを生かし、10億ドル規模のビジネスにしたのか」を著したフレイヤ・ウィリアムズ氏は、サンディエゴ会議のパネルディスカッションに登壇し、グリーン・ジャイアントに代表される目的主導型ブランドについて語った。

オーガニックバレー

米食品メーカー・オーガニックバレーは、2015年の売上高が10億ドルに達し、グリーンジャイアントといってもさしつかえない企業だ。乳製品などを販売する同社は、商品の生産から、農家の生産体制、動物の飼育方法まで一貫してサステナビリティを取り入れている。

サステナビリティ部門マネージャーのジョナサン・レインボールドは、オーガニック食品業界初の快挙に嬉しさをこらえきれない様子だった。それもそのはずだ。オーガニックバレーの農地は全米の有機農地のわずか2%ほどしかない。

「限られた土地をきわめて効率的に利用し、ここまで売り上げをあげてきたのです」とレインボールド氏は話す。畜産農家の持続的な豊かさを運営指針にしている同社は、農家の利益に重点を置いている。

もちろん、この成功の裏には、顧客のニーズを第一に考えてきた運営姿勢がある。
「これからも、顧客がそれぞれ持っている要望とニーズに応えていきたい」とレインボールド氏は話した。

ターゲット

王道の広報戦略で成功し、顧客のニーズにあわせた経営をする企業といえば、米ディスカウント百貨店チェーン・ターゲットだ。CSR副部長ジェニファー・シルバーマン氏は、同社が2014年に立ち上げたブランド「Made to Matter」について語った。

「Made to Matter」は、オーガニックでサステナブルな製品を手ごろな値段で購入できるブランドだ。選び抜かれた商品ラインナップは、ブランドコンセプトを支持する消費者の需要にぴたりと当てはまっている。

同社は、サプライヤーに対してもこれまでより厳しい基準で商品を作るよう求めた。包装材の削減やクリーンラベル製品の販売、アレルギー物質を制限した食品、低糖の商品などこれまでに100以上の製品が誕生している。

この戦略が功を奏し、2015年の売上げは30%増で10億ドルに達した。

REI

アウトドアブランドREIは、年間で最も書き入れ時のブラックフライデーに、消費者の度肝を抜くような「#OptOutside(外に出よう)」キャンペーンを行った。

全店舗を休みにし、従業員には有給休暇をあたえて外に出て休日を楽しむように促し、消費者にも屋外で遊ぶよう呼びかけたのだ。このメッセージは、忙しく働くアメリカ人の心を捉えた。

「人生は買い物を中心に回っているわけではなく、それぞれの人の価値や目的があって人生というものになる」とREIの戦略部門副部長は話す。屋外で過ごす時間を楽しむことは人生を豊かにすることだ、という会社の理念をよく反映している。

REIは、国立公園と提携して国立公園のトレールマップアプリを無料で提供している。このアプリがあれば、携帯の電波がない場所でも自分の位置を確認できる優れものだ。

トヨタ

トヨタも米国立公園と提携して、事業を手掛けている。プリウスの成功で、同社は企業として社会的責任を担うようになった。

トヨタの環境部門の最高責任者は、「プリウスは今や世界で900万台が走っていますが、最終的には、同数の使用済みバッテリーを有効活用していかなければなりません」と話す。

また2014年にトヨタは他社と提携をして、カムリハイブリットの使用済みバッテリー208個を使い、イエローストーン国立公園のラマー・バッファロー・ランチで太陽光発電プロジェクトを行った。

ここで紹介した目的主導型ブランドが対象にしているのは、一般消費者だ。グリーンジャイアント企業は、これから環境に配慮した消費に興味を持つ可能性のある潜在的顧客層に焦点をあてた製品やブランドを開発していく。そうすることで、持続可能な未来を切り拓いていくのだ。