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アメリカ

世界で唯一、NY市がSDGsの進捗報告を宣言へ

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ニューヨークの国連本部の地下にある売店では、さまざまなSDGs関連グッズが販売されている© Kasumi Abe

国連本部のあるニューヨーク市はこのほど、SDGs(持続可能な開発目標)の進捗を国連に報告することを宣言した。これまでのところ世界で唯一、進捗報告を宣言した都市になる。ニューヨークは国家ではなく都市だが、人口は約855万人に上り、ノルウェー(約523万人)やアイルランド(約477万人)よりも多い。同市は温室効果ガス排出量を2050年までに80%削減することを宣言している。(ニューヨーク=安部かすみ)

ニューヨーク市がSDGsの中でも優先的に取り組んでいる5項目は次の通りだ。
ゴール6: 安全な水とトイレを世界中に (Clean Water and Sanitation)
ゴール7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに (Affordable and Clean Energy)
ゴール11: 住み続けられるまちづくりを (Sustainable Cities and Communities)
ゴール12: つくる責任 つかう責任 (Responsible Consumption and Production)
ゴール15: 陸の豊かさも守ろう (Life on Land)

SDGsを子ども向けに解説した絵本(17ドル) ©️ Kasumi Abe

具体的な取り組みとしては、環境保護局(DEP)を通じてクイーンズ区の洪水問題に対処するための下水設備の整備をしたり、ハーレム地区のコミュニティ団体「環境正義のためのウィアクト」(WEACT for Environmental Justice)とパートナーシップを組み、公営住宅団地内に太陽光発電を導入したりしている。環境正義とは、「環境保護・保全」と「社会正義・公正」とを統合し、環境問題における正義の実現を目指す概念である。

独自の報告書では、温室効果ガス排出量削減の成果について、2005年と比べて、2015年の時点で14%減少、2016年の時点で15%減少と、少しずつではあるが成果を上げているとしている。

しかし、ゴール11の「住み続けられるまちづくりを」の一部である、便利な公共交通機関のための整備は改善が見られていないとも指摘する。市はニューヨーク都市圏交通局(MTA)の資本計画に2.5ビリオンドル(約2803億円相当)、緊急時の地下鉄補修費として418ミリオンドル(約469億円相当)を投じた。だが、老朽化が進む地下鉄システム自体に必要な予算だとして、ビル・デ・ブラシオ市長とアンドリュー・クオモ州知事との中で、市と州どちらが補填するのか意見の対立が起きるなど、問題は絶えない。

ニューヨークの国連本部の1階には、持続可能な開発のための2030アジェンダの一つである結核を減らすためのEND TBのボードも設置されている ©️ Kasumi Abe