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国際

ユニセフとLIXILが途上国のトイレ普及で連携

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SDGs6目標「安全な水とトイレを世界中に」でパートナーシップを結んだユニセフのシャネル事務局次長(左)とLIXILの瀬戸社長兼CEO

ユニセフ(国際連合児童基金)とLIXILはそれぞれの強みを生かしながら世界で安全、衛生的なトイレを普及させるために、グローバルパートナーシップを締結した。LIXILはこれまでも低価格な開発途上国向け簡易式トイレ「SATO」を開発し、世界15カ国で180万台を販売している。今回、ユニセフと組むことで衛生教育の普及やネットワークの拡大を図り、世界で23億人にのぼるトイレのない生活をしている人々の衛生環境をより早く改善したい意向だ。(箕輪 弥生)

ユニセフのシャネル・ホール事務局次長はLIXILとの連携の背景として「不衛生な排泄環境が原因となる下痢性疾患によって、毎日800人もの5歳未満の乳幼児の命が奪われている」問題をあげた。

屋外での排泄は、野生生物に襲われたり、女性が暴行を受けたりというリスクも高める。学校にも衛生的なトイレが普及していないため、生理の時期を迎えた女児が学校に通うことをやめてしまう問題も指摘した。

今回のユニセフとLIXILとの連携はこのような衛生状況の課題に対して、SDGsのターゲット6.2「2030年までにすべての人々に衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性および女児、ならびに脆弱な立場にある人びとのニーズに特に注意を払う」の実現を目指す。

ユニセフのシャネル事務局次長、LIXILの瀬戸欣哉社長兼CEOはともに「この目標に到達するためには単独ではできない」と世界の社会的課題に対する連携の重要性を強調した。

瀬戸社長は「LIXILが低価格で機能的な製品を提供し、ユニセフには衛生習慣の改善のための教育や普及のためのネットワーク作りなどを期待する」と語った。両者はまずエチオピア、タンザニア、ケニアの3カ国で取り組みをはじめる。

LIXILが開発した開発途上国向けトイレ「SATO」はインドやケニアなど現地の協力工場で製造し、数百円という価格で販売している。インドでは、排泄物を乾燥させ、堆肥として農地に還元する方法も試みられており、地域にあった提供方法も地域のニーズを踏まえて開発している。

瀬戸社長は「この取り組みは支援ではなく、持続可能なビジネスとして行いたい」と話した。そのため、「市場が形成されれば、競合の加入も促進し、業界全体で安全で衛生的なトイレを世界で普及させていきたい」と語った。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・マーケティングプランナー・NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。

http://gogreen.hippy.jp/