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国際

AXA、INGなど世界の生保金融、石炭投資への撤退加速

世界の政府系ファンドや大手保険会社、金融機関の石炭投資からの撤退(ダイベストメント)が加速している。オランダ最大の銀行INGは2025年までに石炭火力発電のリスクを持つ資産をほぼゼロにすることを明言。仏の大手保険会社AXAもダイベストメント額を昨年末に24億ユーロとこれまでの5倍に引き上げた。これに対して邦銀の石炭投資は世界的に高く、グリーンピース・ジャパンや350orgなどの国際環境NGOは投資家にもリスクがあることを指摘している。(箕輪弥生)

ノルウェーはこれまで北海油田からの豊かな資源で巨額の外貨を稼いできた国だが、1兆ドル(約113兆円)規模の資産をもつノルウェー政府年金基金は、石炭株の大半の売却に続いて、石油・ガス株を処分することを決めた。これは、「資産の30%以上が石炭関係、または収入の30%以上が石炭関連事業から得ている企業や、石炭火力発電の新設に直接関与している企業を投資先リストから除く」という基準によるものだ。引き揚げリストには日本の大手電力会社も複数含まれる。

この動きは多くの投資家の注目を集め、その動きに追随する金融・保険会社が出ているだけでなく、投資家にも影響を与えている。

「機関投資家が金融機関のポートフォリオ(運用資産の構成)における脱炭素化を求めるようになってきている」とダイベストメント運動を進める国際NGO、350.orgジャパンの古野真代表は話す。その1例として、古野代表はノルウェー中央銀行投資管理部門のCEOが銀行の融資先の炭素排出量の公開を求めたことを挙げた。ダイベストメントは「石炭関連企業への直接的な投資撤退だけでな く、これらの企業に資金を貸し出す銀行も対象になり始めている」 (古野代表)。

AXAなど大手保険会社も新規の石炭関連企業の引き受けや、石炭企業への株式投資をしないことを基準にする企業が増えている。グリーンピース・インターナショナルのマリナ・ロウ エネルギー金融キャンペーナーは、「石炭ビジネスが気候変動へのダメージだけでなく、座礁資産となるリスク、訴訟やブランドリスク、健康リスクなどがあることが明確になってきた」と分析する。

脱石炭の世界的な動きに遅れをとっているのが大手邦銀だ。グリーンピースが発表した「石炭投資と気候変動」のレポートは、石炭火力発電企業上位120社にファイナンスを提供している銀行として国内メガバンク3行が最大の貸し手となっていることを報告する。

グリーンピースノルディックのマーティン・ノーマン持続可能な金融キャンペ―ナーは「地球の反対側で常識となっていることが日本では全くそうなっていない」ことに驚きを隠せない。ノーマン金融キャンペ―ナーは、「金融機関のリスクを日本の政府が理解しているのか」と問いかけ、「ESG投資を企業経営の中で統合した形で組み込むべきだ」と提言した。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・マーケティングプランナー・NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「エネルギーシフトに向けて「節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。