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フランス

フランス政府、石油由来のレジ袋を禁止

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再利用可能な袋 (C)HANYU Noriko

フランス政府は7月1日、石油由来のレジ袋の配布を禁止した。フランスでのレジ袋の消費は、年間約170億枚にのぼる。禁止の主な理由は、鳥や魚などの野生動物が飲み込むなどの被害があり、生態系が破壊されていることだ。7月以降は、土に戻る「植物性原料」の袋だけが許可される。2017年以降は生鮮食品包装用など、レジ袋以外にも拡大適用される。

フランス政府は7月1日、内側の厚さが50マイクロメートル以下の石油由来のレジ袋をすべて禁止した。2015年8月発布の「緑を増やすためのエネルギー移行法」に準拠するものだ。

今後使用できるものは、1)素材に関わらず、有料あるいは無料の、厚さ50マイクロメートル以上の再利用可能な袋、2)りの生鮮食品の包装袋、3)紙や布などの非石油由来の袋、4)レジ袋の場合は、厚さ50マイクロメートル以上の土に戻る植物原料のもの。

レジ以外の場所で配布される厚さ50マイクロメートル以下の袋には、植物原料の割合を明記しなければならない。その他の袋には、再利用できることと、自然界に捨てないようにとの記載が義務付けられる。スーパー、小売店、朝市、薬局など、業種や場所に関わらず、すべての店で適用される。違反者には10万ユーロ(約1130万円)の罰金と2年の懲役が科せられる。

また、光と熱で酸化して土に戻るが、分子までは解体されず、コンポスト(堆肥化)できない石油由来の袋の製造や販売、配布は禁止される。農地で使うビニール袋を含め、「土にかえる」とされる袋にはこの種のものが多かった。

許可される石油由来の袋の中の植物原料の割合は、年々増える。2017年1月には30%、2018年には40%、2020年には50%、2025年には80%になる。

環境省は、「セルフサービスの計り売り野菜には直接価格シールを貼ろう」、「サンドイッチ1個のために袋をもらうのはやめよう」と消費者に呼びかけている。

ヨーロッパでは、毎年約80億枚の石油由来の袋が自然界に捨てられ、生態系が破壊されている。欧州委員会によれば、海の廃棄物の75%が石油由来の袋で、海亀の86%がクラゲと間違えて摂取し、北海の鳥類の胃袋の94%に石油由来の袋が入っているという。

羽生 のり子 (はにゅう・のりこ)

環境、エコロジー、農業、食物、健康、美術、文化遺産を主な分野とするジャーナリスト。1991年からフランス在住。環境ジャーナリスト協会、自然とエコロジーのジャーナリスト・作家協会、文化遺産ジャーナリスト協会(いずれもフランス)の会員。共著「世界の田園回帰」(2017年、農文協)。