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「置き配」バッグで再配達6割減、実証実験で手応え

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物流系ITベンチャーYper(イーパー、東京・渋谷)はこのほど、日本郵便と共同で行った再配達削減の実証実験結果を発表した。不在時に荷物を玄関先など指定場所に置いておく「置き配」方式で、専用のバッグを配布して都内1000世帯を検証した。4週間の実験期間中、再配達が約6割削減されたという。宅配業界では再配達の削減が課題となるなか、日本郵便は実証実験の成果を踏まえ、3月から宅配便での置き配サービスを開始する。(オルタナ編集部=堀理雄)

近年ネット通販サイトの拡大などにより宅配便の配達件数が増加し、宅配業者の人手不足が深刻化するなか、再配達の削減が喫緊の課題となっている。日本郵便は、受取人の利用登録や荷送人の同意などに基づき、宅配便「ゆうパック」の置き配サービス(無料)を3月から始める予定で、それに先駆けた実証実験となった。

調査は2018年12月の4週間、東京都杉並区の1000世帯を対象に実施。不在時に玄関先などで荷物を受け取る「置き配」専用のバッグとして、Yperが開発した「OKIPPA」(オキッパ)を無料配布して再配達の削減効果を調べた。

アンケートの集計によると、4週間で合計6000個の宅配物が届けられ、初回配達時の不在率は51%だった。約3000個が潜在的な再配達荷物だったが、置き配により平均約57%、最大で61%の再配達が削減された。

実験後のアンケートで満足度を聞いたところ、100点満点中70点以上と高く評価した利用者が約7割に上り、また盗難などの事例はなかった。一方利用者からは、「認知度・所有率が高まった時は盗難などが発生するリスクが高まると思う」など安全面を懸念する声もあった。

Yperでは、現在各配送業者にOKIPPAの認知を進めるとともに、荷物の保証プランなども検討している。2019年中に全国で100万個の設置を目指す。同社の島添彰取締役は「特に日用品など日ごろからネット通販を使うヘビーユーザーに利用してもらうことで、再配達削減につなげたい」と話している。

今回の実証実験は、SNSを通じて参加者を募集。1000世帯の居住形態はアパート47.2%、戸建45.0%、マンション7.8%だった。参加者の年代は30代が38.1%、40代が33.9%と両世代で約7割を占め、約半数が共働き世帯だった。通販サイトの利用頻度は、「ほとんど毎日利用」が4.2%、「週3~4回くらい」が9.9%、「週1~2回くらい」が44.5%で、総務省の調査に比べ利用頻度が高かった。