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「プラごみを海に出さない」日本財団がセブンと連携

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プロジェクトを率いる海野光行日本財団常務理事

日本財団は11月27日、海洋ごみ対策プロジェクト「CHANGE FOR THE BLUE(チェンジ・フォー・ザ・ブルー)」を発足した。産官学民と連携して、「これ以上、海にごみを出さない」意識を社会に広げる。事業規模は向こう3年間で50億円の見込み。世界に発信するために名称を英語にしたという。セブンイレブン・ジャパンとの共同事業では、まず首都圏の店頭にインセンティブ付きのペットボトル回収機を設置していく計画だ。(瀬戸内千代)

ペットボトル専用のごみ箱はすでにある。今回は、ペットボトルを投入すると、セブン&アイグループの電子マネー「nanaco(ナナコ)」に加算されるような仕組みを検討中だという。

一部のイトーヨーカドーなどでは似た仕組みを運用中だが、「海外展開を図れるセブンイレブンと提携したところに意義がある」と日本財団の海野光行常務理事は語る。セブンイレブンはアジアに3万以上の店舗を持つ。初年度は日本の首都圏で数百店への設置を目指す。

海洋ごみの筆頭は、ペットボトルではなく、釣り糸や食品の包装。しかも、笹川平和財団海洋政策研究所によると、2016年に日本で処分されたプラスチック899万トンの57%がサーマルリサイクル(熱利用)、16%が埋立焼却され、工業原料を除くマテリアルリサイクル(再利用)は23%のみ。うち6%しか国内で処理されておらず、さらに、衣類やペットボトルなどに生まれ変わるのは全体の1%に過ぎない。

しかし、11月上旬に行った1400人の意識調査の結果、海洋ごみと聞いて最も想起されるのはペットボトルだった。また、ごみを減らす活動に意欲的な人は多いが、参加しやすい場が足りていないことが分かった。

そこで日本財団は、身近なコンビニで回収してペットボトルを再生する「ボトルtoボトル」の循環をセブンイレブンと計画した。汚れはリサイクルを妨げるため、「拾って洗って回収機に投入するボランティアの広がりにも期待している」(海野氏)。

同プロジェクトでは他に、環境省や地方自治体、既存の科学者集団など、多様な主体と連携。市民活動と並行して、マイクロプラスチックの人体への影響といった科学的な研究や政策提案も加速していく。

瀬戸内 千代 (せとうち・ちよ)

海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。