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東京・渋谷にシェア傘1000本、使い捨て傘の削減へ

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ソーシャルベンチャー企業Nature Innovation Group(東京・渋谷)は12月初旬から、傘のシェアリングサービス「アイカサ」を始める。JR渋谷駅の半径1キロほどの店舗やオフィスビルなど40~50カ所の「アイカサスポット」に計1000本の傘を設置し、利用者はスマートフォンのアプリに登録すれば1日70円でレンタルできる仕組み。返却はどのスポットでも可能。いつでも借りられる利便性とともに、使い捨てビニール傘などプラスチックゴミ削減を目指す。(オルタナ編集部=堀理雄)

日本洋傘振興機構の推定によると、日本国内の年間傘消費本数は1億2000~3000万本で、世界一の消費量といわれている。そのうちビニール傘は8000万本にのぼるとされる。「ビニール傘に関するアンケート調査」(2015年、アスマーク)によると、1年以内にビニール傘を購入した人のうち、「急場しのぎ」で使用が約8割、また「外出中に紛失する」 と回答した人がおよそ3人に1人(複数回答)であることが分かった。

「アイカサ」は傘のシェアを通じてこうした課題を解決し、雨の日に傘を持ち歩かない生活を提案しようと立ち上げられた。12月3日にまず渋谷駅周辺で開始し、取り組みが軌道にのれば他地域にも広げていく方針だ。

利用者はスマートフォンのアプリ「LINE」に登録すれば、1日70円で傘をレンタルできる。利用時に傘に付けられたQRコードをスマホで読み取り番号を入力すると、傘のロックが解除される。返却時はどのアイカサスポットでもQRコードを読み込むことで返却可能。料金はクレジットカードで課金される仕組みだ。

返却が遅れると1日ごとに70円ずつ課金されるが、420円を上限に1か月間使い放題になる。時間制なので、1日に何度レンタルしても料金は70円。登録料や会費はかからない。

アイカサの利用手順

「返してもらえるか」がカギ

同社広報担当の黒須健取締役によると、取り組みが成功するかどうかのカギの一つは、傘の返却率にあるという。これまでも無料で傘をレンタルするサービスの例はあったが、返却率が1割程に落ち込むケースもあり、活動が長続きしない大きな要因だった。

アイカサはこの課題を以下の2点で解決するという。つまりIoTを活用して誰が傘をレンタルしているか紐づける管理手法と、料金を従量制にして返却期間が延びるほど損をする仕組み、の2点だ。

黒須取締役は「持続可能な形で傘の問題を解決するために、(無料レンタルではなく)料金をとって事業化することを考えた。利用者からお金をもらっても、それ以上のリターンを環境や社会に還元できると思う」と力を込める。

傘は中国のサプライヤーを通じて製造。現地に出向いて頑丈なつくりにこだわり、2~3年の耐用年数を見込む。サービス開始前の11月13日時点で、利用登録者は600人近くにのぼる。

「モノのシェアというよりモビリティ(移動手段)のシェアだと考えている。傘を持ち歩くわずらわしさから解放され、雨の日の移動が楽しくなるような体験を提供したい」と黒須取締役は話した。