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実態伝わらない石炭火力の増設—環境NGOが危機感

世界的に猛暑や豪雨が拡大している

国際NGOグリーンピース・ジャパンは、この夏の猛暑や西日本豪雨など異常気象と温暖化の影響についての市民の意識調査を行った。それによると異常気象を脅威と感じ、温暖化の影響と関連づけて考える人が8割以上に上ったものの、石炭火力発電所の新設など温暖化を促進する計画について約9割が知らないことがわかった。同NGOは世界的な脱炭素化が進み、市民も省エネ努力を重ねている中で、CO2を増やす大規模な石炭火力発電所の新設について市民に周知されていないと情報の乖離に危機感を表した。(箕輪弥生)

この夏は、7月までの3ヶ月の間に熱中症で救急搬送された人が5万人を超え、そのうち125人が命を落とすなど、命に関わる危険な暑さが記録されたほか、豪雨や台風の頻度が増すなど異常気象が頻発した。気象庁と世界気象機関は、これらの猛暑や豪雨は気候変動の結果から増加しており、長期的な地球温暖化による傾向と関係しているという見解をそれぞれ8月上旬までに発表している。

国際NGOグリーンピース・ジャパンが全国の市民1000人を対象に8月上旬に意識調査を行ったところ、8割を超える人がこれらの頻発する異常気象を脅威と感じ、気候変動は温暖化と関連していると答えた。

しかし、温室効果ガスを多く排出する石炭火力発電が、今後日本で35基計画されていることを知っている人は12%、現状でも100基以上の石炭火力発電が稼働している事実を認識している人は14%と非常に少なかった。

新たに新設される火力石炭発電所について知らされた人は、「温暖化が心配だから、とにかくすぐにやめてほしい」が15%、「電気の供給に問題がないならやめてほしい」が50%と、65%の人が否定的だった。

グリーンピースの高田久代エネルギー-プロジェクトリーダーは、「温暖化を促進し、世界の脱炭素化の流れやパリ協定に逆行した石炭火力発電所を国が推進していることを知らない市民がほとんどで、危機感を感じる」と話す。

グリーンピースとともに記者会見を行った環境NGO「気候ネットワーク」の平田仁子理事は、「電力は現状の供給力で十分に足りる、むしろ供給過剰だ」と石炭などの化石燃料を使った火力発電所の施設稼働率が年々低下していることをあげて、現状の計画に疑問を呈した。

平田理事は「これだけの異常な気候現象が連続しているのにもかかわらず、その原因に目が向けられていないことは大きな問題だ。政府が緊急事態宣言を出すなど気候変動の背景にあるものを明らかにして気候変動政策を強化すべきだ」と声をあげた。

現在、日本では石炭火力発電所の新規計画35基のうち、20基が建設・運転へと進んでおり、それにより年間5600万トンのCO2排出量が増加すると試算されている。

箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

環境ライター・マーケティングプランナー・NPO法人「そらべあ基金」理事。
東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。著書に「エネルギーシフトに向けて「節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。

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