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SDGsの推進には「地球の限界」の概念が不可欠

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7月18日、パシフィコ横浜で講演するヨハン・ロックストローム所長(右)

人間の活動が地球全体に与える影響を科学的に評価する方法として「地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)」という概念があり、気候変動や化学物質汚染など9項目を定義している。この研究を世界的に主導するストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストローム所長は、18日のパシフィコ横浜で「人類は今までにないリスクに直面している。今こそプラネタリー・バウンダリーの概念を基にSDGsを推進すべき」と訴えた。(松島 香織)

ロックストローム所長は、パシフィコ横浜で開催された公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が主催する「持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2018)」に登壇した。

そこで、「大気圏など地球規模で人類が共有している資産(グローバルコモンズ)も経済やビジネスに盛り込み、持続可能な未来経済に結びつけなくて考えなくてはいけない」と警告した。

さらに石油と石炭を燃やし過ぎると生物圏に置いて温暖化が進むことは科学的に示されていることであり、だからこそ地球の限界「プラネタリー・バウンダリー」の概念が必要であると説いた。

プラネタリー・バウンダリーとは、安定した地球で人類が安全に活動できる範囲を科学的に定義し、定量化したものだ。

ロックストローム所長ら国際的な科学者グループは9項目のプラネタリー・バウンダリーを提唱し、「気候変動」「生物多様性」「土地利用の変化」「窒素・リンによる汚染」の4項目について、限界値を超えて危険域へ向かっていると発表している。

ロックストローム所長は、「脱炭素は経済成長を後押しするもの。企業は持続可能な世界のためにCSRだけに留まらず、SDGsもビジネスのフレームワークとするべき」と話し、環境を土台にし、社会、経済が「ウェディングケーキ」のように重なったSDGsの17項目を輪切りにした円柱の図を示した。

地球は一定の限界値(プラネタリー・バウンダリー)を超えて回復力を失うと、社会や経済を危険にさらす。ロックストローム所長は「命の価値を考え、マインドシフトしていかなければならない」と会場に呼びかけた。

松島 香織 (まつしま・かおり)

サステナブルブランド・ジャパン デスク 記者、編集担当。
アパレルメーカー(販売企画)、建設コンサルタント(河川事業)、
自動車メーカー(CSR部署)、精密機器メーカー(IR/広報部署)等を経て、現職。