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SDGsの広報ガイド発行 「SDGsウォッシュ」に警鐘も

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電通はこのほど、企業の経営者や広告宣伝に携わる人向けに、専門家など8人と作成した「SDGsコミュニケーションガイド(日本語・英語版)」を発表した。内容は「企業理念をSDGsと統合して企業活動の中核に位置付けているか」を確認させたり、「SDGsウォッシュ(SDGsへの取り組みを誇大表現すること)を回避する方法」も取り上げるなど踏み込んだ内容になっている。同ガイドは、持続可能性の視点に立った企業活動が求められる時代に、適切にSDGsを活用しなければ、企業価値の毀損を招くと警鐘を鳴らす。(オルタナ編集部=小松 遥香)

SDGs(持続可能な開発目標)が国連で2015年に採択されてから3年目を迎えた。SDGsの認知度は各社の調査で現在、約10-15%と言われており、年々増加している。

忙しい人でも簡単に理解できるようにとつくられた全16ページのコミュニケーションガイドは、SDGsの基本的な説明に始まり、企業経営へのメリット、SDGsに取り組む際の留意点、企業経営者のコミットメント、広告コミュニケーション、SDGsウォッシュの回避、人権への配慮などの手法が実践的に紹介されている。

SDGsが浸透する中、専門家らの間で懸念されてきた「SDGsウォッシュ」についてページを割いていることが特徴だ。90年代にNGOからの批判を受け始めたグリーンウォッシュと同様に、実態以上にSDGsに取り組んでいるように見せかけることで、企業は「生活者との信頼関係の損失」「ESG投資先として魅力を毀損」する危険性があると指摘する。

そして、SDGsの根底に人権の概念があることを挙げ、コミュニケーションを行うにあたり、文化や価値観など多様性を理解した上で、広告表現を行うことが必要だと言及する。ガイドの最後には、SDGsに関する広告コミュニケーションには、意志の表明に加え、特に「誠実さ」が大事であると記載。さらに、企業が信頼を獲得するには、「自社が提供する商品やサービスの負の影響となる課題への取り組みや方針の公開」「負の影響が少ないサービスの積極的な提供」が重要だとしている。

「SDGs コミュニケーションガイド」作成委員会のメンバーは、後藤敏彦・NPO 法人サステナビリティ日本フォーラム代表理事兼一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 理事、黒田かをり・一般財団法人CSOネットワーク事務局長・理事、粟野美佳子・一般社団法SusCon代表理事、堀江由美子・公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー・マネージャー、沖大幹・東京大学国際高等研究所サステイナビリティ学連携研究機構 教授、石田一郎・朝日新聞社マーケティング本部長、金田晃一・ANA ホールディングスCSR推進部担当部長、木下浩二・日本広告業協会(JAAA)環境小委員会委員長。

電通SDGsプロジェクトの池田百合さんは、「誇大広告にならないことが大事だ。経営者や広告に携わる方、どなたも活用できるものに仕上げた。自社だけでつくることで独りよがりにならないよう、NPOの方々に参加いただき検討を繰り返した」と説明した。

小松 遥香

オルタナ編集部。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。