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ラッシュ、海のプラごみ問題に警鐘鳴らす新商品発売

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英化粧品ブランドのラッシュジャパンは世界海洋デーの本日8日、プラスチックの海洋汚染問題を多くの人々に知ってもらうため、入浴料「タートル ジェリーボム」を同日発売する。同商品はウミガメの形の入浴料をお湯に溶かすと、プラスチックごみに見立てた糸寒天が出てくるもの。同社は今月1日、伊ミラノにプラスチック包装材を使わない商品のみを販売する期間限定の店舗を出すなど、世界的に環境問題の啓発を進めている。(オルタナ編集部=小松 遥香)

今月4日、タイ南部で打ち上げられたゴンドウクジラの胃の中から80枚近くのプラスチック袋が見つかったニュースが世界を駆け抜けた。国連などによると、年間800万トン以上のプラスチックごみが海に流出しており、9割を超える海鳥の胃にはプラスチック片が混入し、海洋哺乳類の総種数のうち3分の1は漂流ごみが付着しているという。またプラスチックが海で完全に自然分解されるまでには、450年ないしそれ以上かかるとも言われる。

世界では、英国をはじめ米国やカナダの一部、インド、台湾などで使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する動きが出ており、EU(欧州連合)も5月28日、同製品の販売を禁止する方針案を発表したばかりだ。

海洋プラスチックキャンペーン

ラッシュは95年の創業以来、「すべてのビジネスはエシカルですべての取引は公平であるべき」という方針のもと、調達から販売、使用までの過程において、人や動物、環境に配慮したビジネスを世界48カ国で展開する。

今回は6月8日の「世界海洋デー」に合わせて、世界的に「海洋プラスチックキャンペーン」を実施する。

本日から販売を開始する入浴料「タートル ジェリーボム」は、海藻由来のゼリーが溶け出し、糸寒天が浮かび上がる仕掛けだ。ウミガメは、餌の海藻を食べる際に絡みついたマイクロプラスチックを誤って食べていると言われており、また同商品に含まれる糸寒天はプラスチック同様に溶けないようになっている。ラッシュジャパンは、商品をきっかけに海洋のプラスチック汚染問題について知ってもらいたい考えだ。

「タートル ジェリーボム」は、オンラインショップで6月8日から先行発売され、店頭での販売は18日から始まる。価格は税込みで940円。6月18日からは、店頭に立つ社員らが来店者にプラスチック製の包装材を使用していない固形商品「ネイキッド」を販売する背景などを説明し、海洋汚染問題について啓発していく。

バスタブに浮かぶ糸寒天で海洋ゴミをイメージした

ネイキッド商品だけを販売するポップアップショップを開店

ミラノに開店したポップアップショップ

ラッシュはこれまで、プラスチック包装材を使用しないボディーソープやシャンプーなどを固形化した商品の開発に力を入れてきた。現在、600以上の商品のうち約120の商品は「ネイキッド」と言われるプラスチック包装材を使用しない固形商品。固形の商品には、製造過程において水の使用量を削減でき、合成保存料も使わずに済むというメリットもある。

同社では、プラスチック容器に入った商品も販売しているが、すべての容器はリサイクルプラスチックを使用し、世界中の店頭で容器回収をしている。日本国内では、2011年に約8%だったプラスチック容器の回収率が、約30%に伸びたという。今月から、オンラインショップで販売する固形アイテムもすべてプラスチック包装材を使わずに発送していく方針だ。

6月1日には、イタリア・ミラノにプラスチック製の包装材を使わない商品のみを販売する「LUSH MILANO Via Torino」を期間限定で開店した。同社にとって初めての試みとなる。同店舗では、海洋ゴミなどをテーマにしたイベントやワークショップを開催するほか、映画上映ができるスペースも設けられている。

「店内での体験を世界に発信し、プラスチックを必要としない未来について議論しあえる場になることを願っている」とラッシュジャパン広報の小山大作さんは話す。

小松 遥香

オルタナ編集部。アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。