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次の時代を元気にする企業を地方で増やすには

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左から、モンベルの竹山氏、中央葡萄酒の三澤氏、楽天の小林氏

「次の時代を元気にする企業を地方でどう増やせるのか」をテーマに行われたセッションには、楽天の小林正忠CPO(Chief People Officer)・常務執行役員と中央葡萄酒(甲州市)の三澤彩奈取締役・栽培醸造部長、モンベルの竹山史朗常務取締役・広報本部長が登壇した。ファシリテーターを務めたのは、一般社団法人日本能率協会の細田悦弘主任講師だ。(佐々木みどり・オルタナ編集部)

アウトドアメーカーのモンベルでは、モンベルクラブの会員を対象とした「フレンドショップ」を20年近く展開してきた。最近は地方自治体からの希望で全国30の自治体と包括連携協定を締結し、町を活性化するための「フレンドタウン」づくりにも関わっている。

「フレンドショップはもともとその地域にある施設で、我々はそこにお客様を送り込んでいく役目を持っています。最近は高知県の本山町で廃校を利用したアウトドアショップの基本設計と工事を担当しています。このようなノウハウを生かして地方に貢献したいです」(株式会社モンベル 常務取締役 広報本部長 竹山史朗氏)

中央葡萄酒は山梨県甲州市勝沼町にある1923年に創業したワイナリー。1953年に立ち上げたブランド「GRACE WINE」は、2014年に開催された世界最大のワインコンクールDecanter World Wine Awardsで、日本ワイン初のゴールドメダルを受賞。現在同社のワインは世界20か国に輸出されている。

「勝沼には40社ワイナリーがあり、ほとんどが家族経営です。山梨県は2013年に国からワイン産地の指定を受け、さまざまな要件をクリアして海外同様に産地の『山梨』という名前をラベルに表記できるようになりました」(中央葡萄酒株式会社 取締役栽培醸造部長 三澤彩奈氏)
楽天が1997年の設立当時から描いていたビジョンは、インターネットのインフラをつくり、日本を元気にしたいということ。

「今では、インターネットで情報を得て買物をすることは当たり前のことになっています。例えば、和歌山県北山村のじゃばらという柑橘類は花粉症に効くという情報が伝わって、村で収穫できる量を超える注文が入るようになりました」(楽天株式会社Chief People Officer 常務執行役員 小林正忠氏) 

地方の人は地元の良さに気づいていない

地方が元気になるためには、地元の人が自分の住む地域の良さに気づき、その良さを外に向かって発信することが必要だ。

「地域の人が自然や文化に気がついて誇りを持つことが一番ではないでしょうか。日本は世界の中でも稀有な箱庭的自然があります。海、山、里山のそばに人々の暮らしが寄り添っている。住んでいる人たちがその価値に気づくことが大切です」(モンベル 竹山氏)

「私は地方の価値を上げることが重要だと思っています。いいワインを作ることで付加価値をつけ山梨に貢献できると思います。都会のフロー的なものではなく、地方ならではの地域の蓄えや、伝統を引き継ぐことで価値が上がっていくものもあります」(中央葡萄酒 三澤氏)

「地方を元気にするためには、若者、バカ者、よそ者、が必要だと言われますが、地方の方々は地元の魅力に気づいていないことも多いのです。店舗の人と話して気づいたのは、商品が出てくるまでの背景を紹介しないこと。エピソードや地域が大切にしてきた物語・ストーリーを発信することが大事です。メディアに合わせた発信を外部と連携することで、うまく伝えることができるのではないでしょうか」(楽天 小林氏)