サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)
コミュニティ・ニュース

超福祉展が問う2020年の福祉の姿

  • Twitter
  • Facebook
サステナブル・ブランド ジャパン編集局
渋谷ヒカリエで開催されている超福祉展

2020年までに障害者などのマイノリティや福祉に対する心のバリアを取り除くことを目指す展示会「超福祉展(2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展 )」が11月7日、東京・渋谷で始まった。今年で5回目となる超福祉展では、新たな福祉機器の展示のほか40以上のシンポジウムや体験型イベントが行われる。「今年から2020年までの3年間は、具体的な行動変容を生むべく『では、どうしていくのか』という問いを投げかけていきたい」と主催者のNPOピープルデザイン研究所の須藤シンジ代表理事は話す。(サステナブル・ブランド ジャパン=橘 亜咲)

超福祉は、障害者などのマイノリティに対する負い目や同情などの「意識のバリア」を「憧れ」へと転換させる心のバリアフリー、意識のイノベーションのこと。須藤代表は「障害者などのマイノリティをゼロ以下のマイナスである『かわいそうな人たち』と見なしてゼロに引き上げようとするのではなく、誰もがゼロ以上の地点にいて混ざり合っていることが当たり前となり、ハンディキャップがある人が健常者より『カッコイイ』と憧れられるダイバーシティのある未来を実現したい」と話す。

超福祉展を主催する須藤シンジ代表(右)

2014年から毎年開催してきた超福祉展だが、「続けるのは2020年まで。長くやっていてもいけない。最初に決めた8年の中で、掲げる未来を実現していく」と須藤代表は言う。同代表のNPOピープルデザイン研究所の創設には渋谷区の長谷部健区長も携わっており、同区が掲げる未来像「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を共に目指している。

「最後は『人』。エレベーターがなければ車いすを両側から持って運べばいい。『助けすることがかっこいい』と思える文化を渋谷であれば発信できる」と須藤さんは言う。

須藤さんは「日本は福祉の後進国。でも超福祉展を始めたことで、同じように活動する企業や団体、大学、アーティストの方々が面白がってこの取り組みに参加してくれ、その数がどんどん増えている。出展していなくても、ポスターやチラシを貼ってくれる店も今年は50店舗になった」と言い、2014年から年々賛同者が増えていることが超福祉展を進化させていくモチベーションになっていると語った。

日本人だけでなく外国からの参加者も増えていると言う

車椅子に乗りたくない高齢者のために

超福祉展に参加したことがきっかけで、社内公募に手を挙げシリコンバレーで学ぶ機会を手に入れて、新製品を開発している人がいる。スズキ パーソナルモビリティ・ディベロップメント・グループのラジャ ゴピナスさんだ。開発している『kupo(クーポ)』は電動車いすの機能を備えた歩行補助車。ゴピナスさんは「電動車いすのモデルは長らく変わっていない。他の出展者が新しいものを展示しているのを見て、新しいものをつくりたいと思った」と振り返る。

昨秋、チームのメンバー3人とシリコンバレーの支社に移り、グーグルやフェイスブックから学び、老人ホームでボランティアをし『kupo』の1号機の開発にこぎ着けた。「車いすに乗るのではなく、自分の足で歩きたいという高齢者は多い。とは言え、長い距離を歩き続けることは難しい。休憩したいと思えば車いすに変えられるものをつくった」と話す。

『kupo』という名前は、高齢者に青空の下で元気よく歩いてもらいたいという開発の思いから「空」「歩」という漢字をとって名付けた。展示していたのは4号機。ゴピナスさんは「みなさんに見てもらいフィードバックをいただいて、量産化を目指したい」と期待に胸を弾ませる。

LINEを活用し、助け合いを生み出す

異なる企業に所属する広報担当者やサービス介助士、エンジニアなどが結成した一般社団法人PLAYERS(プレイヤーズ)は昨年12月、地下鉄銀座線でLINEを使い、席を譲りたい人と妊婦をマッチングし席を譲るプロジェクト「&HAND(アンド・ハンド)」の実証実験を行った。実験に参加しようと登録した人が1万人を超えるなど注目されている試みだ。

今年の超福祉展では、視覚障害者に焦点を当てた。点字ブロックをスマートスピーカーやLINEと連携させ、音声で点字ブロックの位置を知らせて視覚障害者の外出を支援する「VIBLO by &HAND」の体験型イベントを11月10日15時からハチ公前広場で行う。

このほか30以上のサービスや製品が展示されており、実際に操作し、開発者らの思いを聞くことができる。

ソフトバンクが開発したアプリ「ゲームで学べる手話辞典」。 女性が正面だけでなく後ろを向いて手話をしてくれて手の動き360度から学べるのが特徴
アルファロメオの身体障害者用手動運転補助装置のシミュレーション機器も体験できる
福岡の半導体メーカー「ヨシズカシステムプロダクト」がつくった溶接外れを防ぐ溶接レスの車いす。クッションやフレームの色を選べ、電動ユニットを搭載できるなどカスタマイズ可能な新型車いす
  • Twitter
  • Facebook