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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

サステナブルとは

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サステナブル(sustainable)とは「持続可能な」という意味。サステナビリティ(sustainability)は「持続可能性」。現在の社会、暮らし、経済、経営などを将来に渡って「維持し、継続できる」という文脈で使われる。(オルタナ編集部=沖本啓一)

世界自然保護基金(WWF)が2012年に発表したレポートによれば、2012年当時のまま地球資源を使い続ければ、2030年には社会を維持するのに必要な資源は地球2つ分にもなり、持続「不」可能である。環境面では「地球にやさしいこと」が「サステナブルである」ことだと言える。CO2の排出量削減や再生可能エネルギーの利用促進、リユース・リサイクル、水質保全や節水など、環境に配慮した様々なサステナブルな取り組みが行われている。

国連「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」は1987年、報告書「われら共有の未来」の中で、持続可能な開発(sustainable development)という概念を提唱した。それまでは富や資源の無限性を前提としていたが、同報告書では経済成長の物理的、生物学的な限界を認識することを求めた。この報告書により「サステナビリティ」は地球が生み出す生態系と人間社会の持続可能性を意味する言葉として理解されるようになった。

更に、リオデジャネイロで1992年に開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」では、「持続可能な開発」と行動計画「アジェンダ21」が同時に採択された。これにより、サステナビリティは世界的な環境保全の在り方を示す基本理念と位置付けられた。

国内では、90年代以前にも環境課題やソーシャル性を企業活動に取り入れるSONYやオムロンなどの企業はあったが、一部の先進的な例だった。地球サミット以降は損保ジャパン(現・損保ジャパン日本興亜)などがいち早く環境問題専門の部署を設置し、環境問題の解決に経済的手法を取り入れることが広く受け入れられるようになった。

経営においては、30~50年の長期の視点を持ち、持続可能な企業を目指すことを「サステナブル経営」という。サステナブル経営にとってCSR(企業の社会的責任、社会的対応力)を経営に統合することが最重要だ。CSR先進企業の経営陣からは「地球や社会が持続可能でなければ、企業も持続できない」という言葉がよく聞かれる。そのような企業では、経営の中でESG(環境・社会・ガバナンス)に重点を置き、事業の継続とサステナビリティが一体化している例も多い。

「CSV(共通価値の創造)」と「サステナブル経営」の違いにも留意したい。CSVとは端的に言えば「社会課題の解決をビジネスにすること」だ。提唱者のマイケル・ポーター教授によれば「寄付を含むフィランソロピー(慈善活動)に代表される米国型のCSRでは大きな価値創造や社会変革を起こすことはできない」とされる。しかし、慈善活動により社会がサステナブルになり、それに伴い企業がサステナブルになるという側面もあるだろう。ポーター学説に対しては「フィランソロピーをCSRと認識し、CSRを批判している」との指摘もある。

現在では、環境面だけではなく経済活動、その他にも私たちを取り巻く社会や生活全般に共通して「サステナブル」であることの価値が認められている。それが顕著に表れているのが2015年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs/Sustainable Development Goals)」だ。持続可能な世界を実現するための17のゴールと169のターゲットから構成される国際目標で、世界中の国、自治体、企業、団体などが達成に向けて取り組みを進めている。

衣食住はもちろん、モビリティや投資、近年ではスポーツの分野でも持続可能であることが社会に求められており、あらゆる企業のブランド価値創造においても「サステナブル」は重要なキーワードである。

(参考)
CSR検定委員会編著(2017)『[新]CSR検定2級公式テキスト』オルタナ.
長谷川直哉編著(2016)『企業家活動でたどるサステナブル経営史―CSR経営の先駆者に学ぶ』文眞堂.

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沖本 啓一(おきもと・けいいち)

オルタナ編集部
好きな食べ物は鯖の味噌煮。