遺贈寄付
一般的に遺産は法定相続人に相続されるか、相続人がいない場合は国庫に収められる。しかし、遺言で意思を示すと、それ以外の人や団体に遺産を送ることもできる。これを遺贈と言う。
その遺贈の行先として近年注目されているのが、社会貢献団体に対する寄付だ。希望者を対象とした相談窓口を新設するなあど、遺贈寄付の受け入れについて体制を整える団体も登場している。
毎年12月に開催する「寄付月間」キャンペーンには、企業・NPO・行政など379法人が参加する。写真は昨年の立ち上げイベントの様子
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もし遺贈寄付を検討する場合、二つの注意点がある。一つは遺産の遺留分に気を付けること。遺留分とは一部相続人に保証される相続財産の割合のことだ。例えば故人の身寄りが配偶者のみの場合、遺産の2分の1は遺留分となる(ちなみに通常時の法定相続分は全額)。遺留分を超えた遺贈は相続人が返還請求できる決まりだ。
もうひとつは遺贈の方法が二つあること。包括遺贈は財産の全体(銀行口座・不動産など)が配分対象となり負債も引き継ぐ。一方、特定遺贈は負債を引き継がずに済むが、亡くなるまでに財産構成が変化すると遺言が無効になる。
いずれにせよ当事者同士の事前の話し合いが不可欠だろう。
文=もり ひろし
*オルタナ47号(2016年12月末)「ALTキーワード」から転載しました