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レゴ、サステナブルな玩具パーツを年内に発売へ

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レゴ初のサステナブルなブロック、「植物」のパーツ © LEGO Group

レゴグループ(本社・デンマーク)はこのほど、玩具「レゴ」向けにサステナブルなパーツを年内に発売すると発表した。葉や樹木などの「植物」のパーツに、サトウキビ由来のポリエチレンを使用、セット商品に組み入れる。このポリエチレンは、サトウキビの加工・流通過程管理の認証を受けたものだ。レゴグループは2030年までに、レゴの素材を石油由来からサステナブルな素材に転換することを宣言しており、その第一歩となる。(クローディアー真理)

今年中にお目見えすることが決まった、葉や樹木などの「植物」のレゴ・パーツの原料となるポリエチレンは、サトウキビから製造されるエタノール製だ。バイオプラスチック・フィードストック・アライアンス(BFA)の指導に従い、サステナブルに育成されたサトウキビのみを原料に作られている。BFAはバイオ由来のプラスチックを推奨し、サステナブルな原材料の選択をするよう促す組織だ。

レゴグループは独自の倫理行動規範を定めており、原料供給業者に対し、倫理面、環境面、安全衛生規格面において、それに準じることを求めている。加えて、環境影響評価を適切に行っているかの確認も行う。

サトウキビ関連ビジネスが集まり、意見交換をする「ボンスクロ・ウィーク2018」が行われたニカラグアでのサトウキビの収穫風景
© Joe Woodruff / Bonsucro

レゴのサステナブルなパーツは、サステナビリティ認証を取得している。認証は、英国を拠点とする非営利団体、ボンスクロのものだ。サトウキビ産業の社会的・環境的・経済的な発展を目的に、評価指標を作成し、環境関連認証を行っている。

ボンスクロの認証は2つある。1つは生産規格に対するもので、関連法令の遵守、人権と労働基準の尊重、法的に認められた土地を栽培に利用しているか、使用する肥料の種類と量の管理、温室効果ガス排出の抑制努力をはじめとする、環境への配慮が行われているかなどを審査する。

そしてもう1つは環境マスバランスに対するもので、企業活動全体のエネルギーや資源の投入量と、温室効果ガスなどの排出物の量の収支を、全製造過程にわたって把握しているかを審査する。これは1つ目の生産規格に対する認証を得ている必要がある。

サトウキビ由来のポリエチレン製のサステナブルなパーツは、石油由来の素材を用いた製品と変わりはない。ティム・ブルックス レゴグループ環境責任部門責任者は「質感、見た目とも従来の製品と変わるところはなく、消費者がレゴのブロックに抱く期待通りの、高品質で、優れた安全性と耐久性を備えている」と語っている。

世界中の子どもたちに人気のレゴ © LEGO Group

レゴグループは製品の製造面だけでなく、その後のサステナビリティも配慮している。使用できるが、不要になったブロックは慈善団体に寄付するよう、また壊れるなど、遊べなくなったブロックは、家庭のプラスチックごみとして出し、リサイクルするよう、顧客に奨励している。

生産過程で生じる規格外製品は、成形し直し、新たなブロックに作り替え、それができないものは工場で使われる電力生産に用いられる。余剰品は、世界中の子どもに「遊び」を通して学習を行ってもらおうと、グループ傘下に設立されたレゴファウンデーションを通し、慈善団体に寄付されている。

レゴグループは、2030年までに主要商品とパッケージにサステナブルな素材を用いる目標を掲げている。すでに2014年には、紙製のパッケージや取扱説明書の見直しを開始し、森林管理協議会の認証を得ている。一方、ブロックに関しては、サステナブルなものの割合は現在のところ全商品の1~2%に留まっており、さらなる努力が期待される。目標達成のために、2015年には10憶DKK(約1,760憶円)を投じ、100人以上のスタッフを雇用の上、サステナブル・マテリアルズ・センターを設立。今後も、新素材の研究・開発を続けていく計画だ。

クローディアー真理
ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。

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