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真のダイバーシティを考える

第24回:オフィス改革から始める働き方改革 

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SB-J コラムニスト・山岡 仁美

労働人口の減少が加速している今、「あらゆる制限のある人」を巻き込むことは、もはや組織の喫緊の課題です。

テレワーク、リモートワーク、時短、副業奨励など、さまざまな働き方も着々と身近になる中で、ダイバーシティ推進の目的の一つ「あらゆる制限のある人財を巻き込み、組織や社会を活性及び発展させる」として、育児で時間に限りのある人、身体的障がいのため出社が難しい人、キャリア上雇用形態の違う人など、さまざまな人が力を発揮できる仕掛けが増えてきています。

一方で、目立つのは、制度や施策、社内プログラムなどの充実や活用はされていても、あらゆる人財にとってのハブ機能であるはずのオフィス環境が変わらず、出社することが生産性やモチベーションの低下、ストレスによる疲弊などを招いてしまうという弊害です。

そこで欠かせないのが、オフィス改革でしょう。もはや、ダイバーシティ推進にも、働き方改革にも、オフィス改革はやらざるを得ないマストな事項なのです。

「第30回日経ニューオフィス賞」受賞で、オフィスをコミュニケーションハブと位置付け、まるでカフェかラウンジかのような居心地により、従業員の心身の活力を引き出しているリクルートホールディングス。

徹底的なペーパーレス、座席や固定電話撤廃のフリーアドレス、時間外タスク消滅を実現することで、メリハリのあるパフォーマンス力を高め、メディアでも好事例として取り上げられているJALの調達本部。

オフィスを「Ship=船」と位置付け、従業員だけではなく、ステークホルダーも含め、停泊・航路・航海など、ストーリー性をもってさまざまな場面での相乗効果を狙っているコンサル「リンクアンドモチベーション」。

こうした企業などの成功事例も見受けられる中、「うちの会社ではそこまでは無理」と手をこまねいている実情も多いのではないでしょうか。ならば、総務省のオフィス改革伝道師を訪ねることから始めるのも近道です。

中央省庁自らが働き方変革を推進している姿を示したいという意志から着手したオフィス改革は、実に等身大です。制度や施策の推進よりも、オフィス環境を変えよう!さすれば自ずと働き方が変わり、制度や施策の推進や活用も成される!と見据え、実際に時短勤務やテレワーク制度がスムーズに実用されています。

職場に紙も資料もモノもある。デスクにPCも電話もある。リーダーもメンバーもいつもの席にいる。だから出社する。要不要に関わらず、ミーティングがあり、仕事は長時間気味になり、という循環では、生産性は向上されません。

それでは、多くの人をオフィスに縛ることになり、「あらゆる制限のある人財を巻き込み、組織や社会を活性及び発展させる」ことは無理難題となるのです。つまりは、深刻な労働人口減少の社会には適応できず、遅かれ早かれ衰退する組織の予兆となるのです。

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山岡 仁美
山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

グロウス・カンパニー+ 代表取締役
航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。

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